究極の紺ブレについて

究極の紺ブレについて

D.C.WHITEの代表作であるWEST POINT BLAZERについて書かせていただきます。

作るに至る経緯は前回のブログで書かせていただきましたが、今回は商品について深くお伝えしたいと思います。

 

'24SS Lookbook より

 

先ず、作る段階において素材との出会いがこの企画の一番のポイントになります。

私自身インポートの生地屋、オーダースーツ工場に勤務していたこともあり、本来であればウール素材のブレザーから入ることが王道でしたが、大学時代からよく履いていたラルフローレンの白く落ちていくネイビーのチノパンが好きだったこともあり、そのチノパンのように経年変化していくブレザーが自分自身ほしいし、きっと世の中にはそれを望んでいる人がいるのではないかと思いました。

ちょうどそのタイミングで、綿織物の織元のメーカーに1970年代~1990年代に大量にアメリカに輸出をしていたウェストポイントの生機(染める前の生地)がデットストックとして残っているとの情報を得て、すぐにその生地屋さんに見に行きました。

そこでは2021年当時国内市場においては、ストレッチ素材だらけで「打ち込みの強いガチガチの素材本当に要るの?」という感じで不思議がられましたが、サンプルを触った瞬間これだと思いました。

久しぶりに生地屋さんで興奮し、直ぐにネイビーに染めるなら絶対に白く落ちていく素材にしたいと思い、そこから急ピッチでビーカー(染試験)を繰り返し、少し青みがかった理想のネイビーが完成しました。

 

次に紺ブレの顔にもなるメタルボタンの作成です。

世の中にあるメタルボタンはほとんど学ランに使うようなもの、もしくはボタンサンプル帳にある表情のないモノがほとんどでした。

ここは生地同様手間とコストを惜しまず1から作ろうと考え浜町にあるボタン博物館に行きあらゆる年代のあらゆるボタンを見せてもらい、デザイン、色、風合いを参考にD.C.WHITEの帆船モチーフのオリジナルボタンの開発に進みました。

ご協力いただきましたアイリスさんに感謝です。

完成したボタンは理想通り、最初は金色の輝きが強く出て、使い込んでいくと深く鈍い光を発する銅に近い色に変化していくものに仕上がりました。

 

そして最も私と高橋さんの力の見せどころであるパターン作成と縫製仕様などの製品作りに入っていきます。

自分自身でパターンを引くわけではないですが、いかにこの素材を生かした完成品を目指し作りこんでいく作業になります。

重要なのは、どこかの時代のどこかのブランドのリプロダクトではなく、今の技術と今までの服屋としての経験値をすべて注ぎ込み、今ジャケット屋が作る最高の「究極の紺ブレ」を作るという点でした。

ウールと違い中間プレスの利きにくい目の詰まったコットンにおいてはパターンである程度着用感をあげ、可動域を確保していかなくてはなりません。

 

具体的なポイントとして、

①テーラードジャケットの最もポイントである首から肩にかけての自然なラインを作るという点、中間プレスの利きにくいコットンで、衿ののぼりをきれいに作る為、あえて2枚衿(上衿の中間地点で継いでいる)にして、パット無し、たれ綿(袖山の盛り上がりを作る副資材)無しにして前肩に振ったナチュラルショルダー。

②袖振りを前振りにすることにより、自然な曲線を作り着用感を上げる。

③ウェストのシェイプをわずかに利かせ、細腹(サイバラ、脇のパーツ)で調節しボタンを外した時も、留めたときもいずれも前に少し立つイメージ(ぺったんこではないジャケット)にして立体感を出す。

これを実現するべく何度もパターン修正、縫製サンプルを繰り返し作成し作りこんでいきました。

目指したものは、アメリカ量産品の格好良さとヨーロッパで培われた進化したテーラードの考え方を融合させたものを日本の技術力で作り上げるところです。

 

 左: 新品の状態 / 右: 1年ほど着用と洗濯を繰り返した状態

 

既にお買上の皆様は、どんどん着込んでコットン独特の経年変化を楽しみながら愛着のわく1着に育てていってください。

デットストック生地を採用した1stモデルは完売してしまいましたが、肩回りの仕様や細やかなディティールをさらにアップデートし同じ製造元で生産した2ndモデル、"West Point Blazer"は現在販売中です。

進化するクラシックを追求するD.C.WHITEの自信作ぜひ試してみてください。

 

D.C.Sack Suits

West Point Blazer

¥55,000

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