"インドに行くと人生観が変わると言われるけれど..." 『曖昧』 Vol.3
D.C.WHITE 商品企画部 高橋が送る連載企画『曖昧』。
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「今度どこか食事に行こうか」
彼女が言う「今度っていつですか?」「どこかってどこですか?」
やれやれと胸の中で思う。
今度は今度で、どこかはどこかなのだ。
Aでもなく、Bでもない AとBの間を行き来する、そんな曖昧な感情を人は持っている。
もし人が曖昧という感情を持っていなかったら、小説も映画も全くつまらないものになっていたのだろうと僕は思う。
それで、このブログに何の関係があるかって、そこがもっとも曖昧なんです。
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インドに行くと人生観が変わると時々耳にする。
アジア各地を旅行した人にどの国が素晴らしかったかと問うと「インド」と答える人が圧倒的に多いのだそうだ。
僕はインドに行ったことがない、なのであくまでも想像でこの問いに述べることしか出来ないが、幾つかの疑問がある。
まず、インド旅行を選択する理由
アジアの人気旅行先ランキングを調べると台湾、韓国、タイはランキングされるけどインドはランキング外だ。
インドに行こうと思う人はインドに対して特別な思いがあっての選択なのだろう。
そして、メディア広告
ヒンドゥー教、ヨガ、瞑想・・・
瞑想ツアーなるものがある。心の清浄と深い自己理解を目的とした瞑想。
心が落ち着き、日常のストレスが軽減され、人生や自己の存在に新たな洞察が得られる。
感情の起伏が穏やかになり、心の平静が得られるとメディアは推奨する。
インドの国民性
ヒンドゥー教徒が8割のインド、ヒンドゥー教の概念は輪廻転生。
たとえ貧しく苦しい生活をしていても、これから先のこと、生まれ変わった時のことは神のみぞ知る。
だから自由奔放、楽しく暮らし、神に来生を託し祈りを捧げる。
インドに行くと人生観が変わる・・・・
僕は人生観を変えたい人がインドに行って「インドが一番素晴らしかった」と
答えているのではないかと思ってしまう。
家庭環境か、仕事か、人間関係か分からないけどそれに行き詰まりを感じその助けを求めインド旅行を選択しているのではないかと・・・・
つい最近、学生時代の仲間とグループラインを繋いだ。
総勢10名だ。
朝の3時から夜中まで続けられる会話は音楽、バイク、くだらないギャグなど
昔と変わらない会話に、ふと年齢を忘れてしまうけれど、皆 孫がいてもおかしくない年齢だ。
ただ特定の女性の話題には皆触れない。下品な紳士なのだ。
紳士は自分が関わった女性の秘めた事柄、特に性的嗜好を口外しないのだ。
「誰かインドに行ったことある?人生観変わった?」とラインしてみた。
あっという間の返信だった「あるよ」
彼によればインドに行っても人生観は何も変わらなかったらしい。
ただ、興味深い事を返信してきた。
「世界中の国を二つに分けるとしたら インドとそれ以外の国 、その二つだ」
インドはそれほど強烈で個性的な国らしい。
ガンジス川に流れているゴミと死体、そこで沐浴し、その水を有難く飲んでいる姿を見て彼はそう思ったのだ。
僕はインドに行ってみたいと何時かは思うだろうか?そんな時は来るだろうか?
インドマドラスチェックのシャツに袖を通す時複雑で曖昧な気持ちで遠くインドを思う。
そしていつもの7:20発のバスに乗り込み、イヤホンでジョージ・ハリスンが歌う
「Within You Without You」 を聴いた。
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